日頃、福祉と接点の少ない社員が、社内での出会いから社外ボランティアに発展する“体験と対話”を通じた理解を深める仕組みを構築しています。福祉アート展・ボランティア・出前授業を連動させ、社内文化の醸成から地域社会へ、心のバリアフリーを段階的に波及させている点が特長です。
取組の概要
(1) 企業と福祉をつなぐ福祉アート展
企業のエントランスや空きスペースを活用し、障がいのある方や福祉施設を利用している方の作品を展示する、福祉アート展を地域と連携して開催しています。社員と来場者や作者、作者のご家族、福祉関係者との対話機会を創出し、投票・表彰・個展開催・社内勉強会へ発展させることで理解を一過性で終わらせず、継続的な関係構築と学びの循環につなげています。
(2)企業主導型ボランティア活動
「地域社会貢献Day」というボランティア活動日に有給の特別休暇を付与する制度を活用し、アート作品を提供している地域の福祉施設へ社員が出向く、交流型ボランティアを企画実施しています。ボッチャ大会など福祉施設利用者との活動に加え、施設職員による学習機会も設け、障がい特性や福祉施設の現状など体験を通じた気づきが日常業務における自然な配慮意識の向上へつながっています。
(3)多様性を学ぶ出前アート授業
アート展でご縁をいただいた福祉施設や障がいのあるアーティストと連携し、新宿区内の小学校で「ダイバーシティ・ウォールパズルアート」の出前授業を実施しています。子ども、社員、アーティストが協働してアート作品を制作することで、多様な表現や特性への理解を体感的に学ぶ場を創出し、企業の社会的な活動を多様性教育と結び付けた継続的な実践としています。
「心のバリアフリー」実践のための3ステップ
(1)障害の社会モデルの視点でバリアを理解する
障がいは個人の機能の問題ではなく、環境や制度、周囲の理解不足との相互作用で生じるという社会モデルの視点を重視しています。福祉アート展での鑑賞や対話、ボランティア交流を通じ、企業の関わり方や場の設計次第でバリアは変えられることを社員が体験的に理解する機会としています。
(2)コミュニケーションをとる
展示会や福祉施設でのボランティア活動において、当事者や支援者との直接対話の機会を意図的に設計しています。「接し方が分からない」という心理的距離を、交流の積み重ねだけでなく、社内勉強会などで解消し、特別視ではなく自然な関係性を築けるように活動を通じて実践しています。
(3)適切な配慮を行う
展示会開催の際には、会場までのバリアフリールートの事前確認、会場通路の確保、アートの作品名や作者情報は掲載せずアートを純粋に楽しんでいただく設定など、過度にならない実践的配慮を推進しています。ボランティアでは、障害者本人の意思や特性を尊重する姿勢を大切にしています。
オフィスのエントランスに飾られたアート作品
展示作品を鑑賞しながら投票を行う当社社員

福祉のまちづくり推進協議会委員の講評
福祉アート展や福祉施設でのボランティア活動を通じた地域貢献活動を継続的に取り組んでいます。小学校での出前授業にも取り組んでおり、さらなる地域との交流と心のバリアフリーの推進に向けた取組が発展することを期待します。